
仙台を拠点に、SESと受託開発、Roblox開発を手がける2年目の会社です。社名は古代ギリシャ語の「techne(技術)」と「照らす」を掛け合わせた造語。エンジニアの働きが正しく報われる場所をつくるために、生成AIを事業の中核に据えています。
宮城県仙台市。ここに、設立から2年目を迎えたばかりの会社がある。株式会社Telaness。SESと受託開発、そしてRoblox開発を手がける。代表の村上太一氏は、生成AIを事業の中核に置いている。

生成AIを使い始めたきっかけ
村上氏はもともとエンジニアである。GitHub Copilotを起動して開発する、新しいAIが出ればキャッチアップする。技術者としての接し方は、独立前から自然にできていた。
だが、日常的にAIを使うことはしていなかった。「調べ物レベルでしか使っていなかった」と本人は振り返る。
転機は、会社を設立する少し前に訪れる。自分より先に起業していた友人が、ChatGPTの使い方を話してくれたときのことだ。その友人は、日常的にChatGPTと会話し、自分の情報をすべて覚えさせていた。性格や知識を共有したり、事業の方向性について一緒に話し合うことができる。まるで秘書みたいに。
「こんな使い方があるなら、ちょっとやばいな」
そこから一変する。法人登記も、書類の書き方も、すべてAIに相談しながら進めた。事業を組み立てるときの壁打ち相手も、常にAIだった。「AIが本当に話し相手。すごく密にコミュニケーションを取る友達みたいな感じでした」。
使う前は、どうしていたか
以前の使い方は、あくまで「調べる道具」だった。分からないことを検索するのと同じ感覚で、答えを引き出すために使う。それ以上の役割は与えていなかった。
エンジニアとしての開発補助にも使ってはいたが、それは業務の一部分に閉じた使い方だ。会社を興し、何を事業にするかを決め、書類を整え、人を動かす。そうした経営そのものの領域に、AIが入ってくることはなかった。
変わったのは、AIを「答えを出す道具」ではなく「一緒に考える相手」として扱いはじめてからだった。
いま、どう使っているか

受託開発では、生成AIを全面的に使っている。「昨今、コードが書けることへの価値はもうほとんどなくなっている」。基本的なシステム開発は、ほぼAIに任せる。
ただし、任せない領域の線引きは明確だ。セキュリティの意識と担保、そして設計そのものは、当たり前に人が受け持つ。設計の過程でAIと仕様書をつくったり、壁打ちをしたりはする。それでも、最終的にゴーを出すのは人間だと決めていた。
事業づくりの場面でも、AIは相談相手として稼働し続けている。いまは、AIで組織のような構造をつくれないかを調べながら進めている段階だ。社内の情報整理にもAIを組み込み、全事業にわたって活用している。
運用のルールもはっきりしている。機密情報は一切入力しない。これは絶対だ。個人情報も載せない。
「AIによる情報セキュリティの事故も、ちょこちょこ起きてきています。学習してしまって、どこに情報が漏れるか分からないので」
手間をかけてでも、入力してよい情報とそうでない情報を分ける。それが村上氏の言う「使える範囲」の線引きだ。
うまくいかなかったこと
「全部AIに任せて、自分は眺めているだけ」
AIを本格的に使いはじめた頃、村上氏が思い描いていたのはその状態だった。SES営業も、開発も、すべて自動で回るようにする。
具体的な構想もあった。エンジニアから応募があったら、フォームに入力してもらう。人柄なども検知して、営業、アサインまでを自動化する。
やってみて、無理だと判断した。
「人のコミュニケーションの温度感は、やっぱり話していないと全然分かりません。その人の感情や、ちょっと感じる闇の部分というか。この人は多分あまり良くないな、この人はすごく良い人で熱意に溢れているな、というのは、人間が見ないと分からない絶妙な部分だと思うんです」
もうひとつ、ローカルのファイルを検索して自律的に動くタイプのAIツールも試している。機密情報の面で危険があるため、専用のパソコンを1台用意し、切り分けたうえでの検証だった。結論は「まだ早い」。何をさせればいいかが分からず、結局、何ができるのかも掴めなかった。
いまのスタイルに落ち着いたのは、今年に入ってからだ。
「それまでは、AIでどれだけ自動化できるか、どこまでいけるのかを、ワクワクしながらやっていました。でも、まだ無理だし危ないな、というところで。右往左往して、今の形になりました」
これから
目指す形は、はっきりしている。
「最終決定を人間が行って、それ以外は全部AIになればいいと思っています」
一つの事業を責任者ひとりで回し、その部下はすべてAI。AIの側にも上司にあたる役割があり、組織として自動的に動く。人間が担うのは、最終的なビジネスの接続と、お金のやりとりだけ。
「少数精鋭で、AIはめちゃくちゃいる。莫大な数のAIがいる会社になればいいなと思っています」
そのうえで、村上氏はスタンスを崩さない。セキュリティを担保しながら使える範囲でなるべく多く使う、というのは前提として持っていなければならない、と考えている。
「今後はより一層AIを効率的に活用している会社と、そうではない会社では、業界問わず将来の売上や社会貢献のレベルで、ものすごい差が出てくると思っている」
創り人の光になる。社名に込めたその言葉に向かって、Telanessは進んでいる。

岩手県久慈市出身。仙台のIT系専門学校で学び、新卒で東京の企業へ入社。会社員として働きながら副業、フリーランスを経て、2025年6月に株式会社Telanessを設立。エンジニアに正当な還元がある会社をつくりたいという思いからSES事業を立ち上げた。趣味は音楽で、ジャズやR&Bを聴くことも、自分で作ることも好き。


