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禁止ではなく、制御して使う。SEの集団が決めたAIとの付き合い方日本コムシンク株式会社

大阪 情報通信業
日本コムシンク株式会社のエントランス

大阪市西区に本社を置く、1985年創業のシステム開発会社です。みずからを「エンジニアによる、エンジニアのための、エンジニアリングの会社」と呼び、技術も業務も日々の更新が欠かせないエンジニアの仕事を「下りエスカレーターを登るが如く」と表します。その負荷を減らし、エンジニアの力を引き上げる道具として、生成AIを禁止ではなく制御しながら使っています。

日本コムシンク株式会社は、大阪市西区に本社を置くシステム開発会社である。1985年の創業から、システム開発とDXコンサルティング、データ入力の事業を手がけ、社員は250名を数える。

同社はみずからを「エンジニアによる、エンジニアのための、エンジニアリングの会社」と呼ぶ。生成AIも、エンジニアの力を引き上げる道具として使われている。

AIを使い始めたきっかけ

きっかけは、生成AIの側の変化だった。ChatGPTをはじめとする生成AIが、文章作成の域を出て、システム開発や営業、企画、さらには経営判断まで支えられる水準に近づいてきた。同社はそこを見て、本格的な活用に踏み出している。

迷いがなかったわけではない。情報セキュリティはどうなるのか。回答の精度は信じていいのか。社員がAIに頼りきりになる心配も、導入の前には社内にあった。

それでも同社が出した答えは、禁止ではなかった。

「使わないことの方が、将来的な競争力の低下につながる」

利用のルールを整えたうえで、実務の中で積極的に使う。その方針への切り替えが、すべての出発点である。

使う前は、どうしていたか

提案書や事業計画、設計書、プログラム、テスト仕様書は、担当者が一から作り、経験者がレビューするのが同社の基本的な進め方だった。

この形には、避けにくい弱点がある。経験やスキルによって、成果物の品質にも作業時間にも差が生まれやすい。ノウハウは個人の中にたまり、組織には残りにくい。

準備にも時間を取られていた。調査や資料作成に追われ、本来力を注ぐべき顧客課題の検討や設計、意思決定に十分な時間を使いにくい。そうした状態が続いていた。

いま、どう使っているか

現在、生成AIは一部の社員だけの道具ではない。営業、開発、企画、経営と、複数の業務で使われている。

営業では、顧客情報の整理と仮説立案に始まり、提案ストーリーと提案資料の作成、市場や競合の調査まで生成AIを使う。

開発では、要件整理、設計、コーディング、コードレビュー、テスト、ドキュメント作成の各工程にAIを組み込んだ。同社はこれを「AI駆動開発」と呼び、開発プロセスそのものを高度化する取り組みとして進めている。

日本コムシンク株式会社の社員がコードを確認する様子
要件整理からテストまで、開発の各工程にAIを組み込む。同社はこれを「AI駆動開発」と呼ぶ

事業計画や新規サービスの検討、数値のシミュレーション、人材育成にも使う。ツールはChatGPT、Claude、Gemini、Copilotなどを、業務の特性に応じて使い分けている。

AIに任せないと決めていること

導入すれば自動的に生産性が上がる。同社は、そうはならないことを早い段階で学んだ。

曖昧な指示を出すだけでは、返ってくるのは一般的な答えで、実務では使えない。AIが生成したコードや資料をそのまま使えば、事実の誤りや設計上の問題が紛れ込む。

だから同社は「AIに任せる」という言い方をしない。目的、前提、制約を定義するのは人である。AIの出力を理解し、検証したうえで使う。この順番を崩さないことを重視している。

日本コムシンク株式会社の打ち合わせで設計書を説明する社員
目的、前提、制約を定義するのは人。AIの出力は理解し、検証してから使う

必要だったのはツールの導入ではなく、業務のプロセスと教育をセットで変えることだった。それが、同社がこの数年で得た学びである。

これから

同社が目指すのは、生成AIを個人の生産性を上げる道具から、会社全体の競争力を高める仕組みへ育てることだ。

営業では顧客課題の発見と提案品質の高度化を、開発ではAI駆動開発の標準化を進め、人材育成では熟練者の知識や判断基準を組織へ展開していく。

人を置き換えるためのAIではない。調査や単純作業から人を解放し、顧客理解、設計、判断、創造といった付加価値の高い仕事に集中できる組織をつくる。「エンジニアによる、エンジニアのための」という看板は、AIの時代にも変わらない。

山里 真元
PROFILE — 代表者紹介
山里 真元代表取締役 会長 兼 社長

2005年、NTTデータシステム技術(現NTTデータフィナンシャル技術)に入社。2017年に一般社団法人日本スーパーカー協会の立ち上げに参画し、現在は事務局長を務める。2018年に日本コムシンク株式会社へ入社して常務取締役に就き、2020年に代表取締役社長に就任。趣味は武道とモータースポーツ。

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