
株式会社ALMOは、大阪・梅田のマーケティング支援会社です。代表の片井康太氏は、1週間の資料が5、6分になるのを見て、稟議もかけずに自分でAIを契約しました。資料づくりとリサーチはAIに渡しますが、企画は丸任せしません。根拠のわからない数字を、クライアントに持っていかないためです。
株式会社ALMOは2026年3月、大阪・梅田で創業した。マーケティング支援とコンサルティングの会社である。代表取締役の片井康太氏は前の会社を売却し、もう一度会社をつくった。
前の会社で手がけていたのは、インフルエンサーの起用やデジタル広告の運用、ダイレクトマーケティングだ。実行を重ねるうちに、次は上流の企画から手がけたいと考えるようになった。会社を売却し、いまの会社を起こしたのはそのためだ。
生成AIを使い始めたきっかけ
「広告代理店とかマーケティングとかコンサル会社って、何の業務が一番重いかってわかります?」
逆に、こちらが聞かれた。答えは、資料づくりである。
ただし、時間がかかっていたのは考えることではない。片井氏の資料の作り方は、中身と構成を全部考えてから、その内容をパワーポイントに落とし込む二段階だ。その二段階目、パワーポイントに落とし込む作業に時間を取られていた。
そこを自動化できると知ったのが当時のGensparkだった。「Gensparkの甘い罠に引っかかりまして」と片井氏は言う。
全て自身の手で行っていた時は1週間かかっていた資料が、5、6分で上がってきた。
これはいい、と味を占めた。使えると分かった時点で契約し、稟議は通していない。決めたのは片井氏で、社員にもそのまま使わせている。導入から浸透までに、検討の期間はなかった。
使う前は、どうしていたか
資料は中身と構成を考えたあと自分でパワーポイントに落とし込み、1本に1週間かかることもある。
広告クリエイティブの修正は、制作の担当者に依頼して、手が空くのを待つ。それだけの作業に、どう急いでも1日はかかった。
会社を起こしたばかりで、本当は経営を考え、顧客と話すことに使いたい時間が、資料化と修正待ちに削られていた。

いま、どう使っているか
株式会社ALMOでは、3つの領域で生成AIを活用している。資料の作成、広告クリエイティブの修正、リサーチである。
一つ目は資料の作成だ。自社の資料の雛形をあらかじめすべて学習させてあり、片井氏が中身と構成を渡すと、雛形に合わせたデザインで資料の初稿ができあがる。中身と構成を考えるのは、これまでどおり片井氏である。
二つ目は広告クリエイティブの修正だ。文章だけのクリエイティブなら、AIに「ここの文字こう直して」と指示すれば、同じトーンとフォーマットで修正版がその場で返ってくる。クライアントからは、時間が短くなったことを喜ばれている。
三つ目がリサーチだ。片井氏が「リサーチばっかですよ。僕らはリサーチが仕事と言っても過言ではない」と言うように、提案資料の作成や施策を考える際には多くの情報を集める必要がある。
AIへの頼み方は具体的で、たとえば「インフルエンサーのリーチ率とエンゲージメント率の相関を説明したウェブページを探してきて」といった具合だ。
浮いた時間は、経営と顧客のほうに回っている。

AIに丸任せしないと決めていること
企画には、AIを丸任せしない。片井氏は「プランニングはAIにはできないですね」と言う。理由は、出てくる数字にある。
「わけわからん数値感が出てきたりするんで。このロジックはどっから出てきたんや、みたいな」
根拠を説明できない数字は、クライアントに出せない。だから企画は人が組み、必要なパーツだけをAIから取り出してくる。壁打ちに使うのは構わないが、出てきた答えをそのままクライアントに持っていくのは違う、というのが片井氏の考えだ。
これから
会社はこれから人を増やす。片井氏は「無駄な雑務にみんなが振り回されないようにはしたい」と言う。まだ漠然とした構想だと断ったうえで、任せる範囲は挙げた。経費処理や売上計算、請求書の送付と受け取りはAIに任せ、人は正しく処理されているかを確かめる役に回す。確かめる役は一人で足りる、と本人は考えている。営業は案件を取ってきたら、あとはプロジェクトを進めることに専念できる。
いま片井氏が自分でやっているこの使い分けを、人が増えても同じ形で保つつもりだ。
ともに働く人を求めている
求めているのは、短期、中期、長期のそれぞれで、クライアントの売上を伸ばすことにコミットできる人である。性別や年齢は問わず、領域も限定しない。
クライアントがお金を払うのは、売上を伸ばしたいからである。そこを外せば、実力を疑われるのは避けられない、と片井氏は言う。
取材の最後に掲載内容を確認すると、「AI使うのって別に恥ずかしいことじゃないんで」と、あっさり返ってきた。隠す理由がないのは、何をAIに渡し、何を渡さないかを自分で決めているからだ。
前職ではインフルエンサー施策、デジタル広告運用、ダイレクトマーケティングを手がける。ベンチャーを0から10まで育て、バイアウトを経験。「その場しのぎの施策では根本解決にならない」という問題意識から、上流の戦略設計から関わる会社をつくるべく、前の会社を売却して2026年3月に株式会社ALMOを設立。趣味は小説で、村上龍を長年読み続けている。





