- AI未活用と知ると59%の志望度が下がる
- AI活用と知って上がるのは55%で減点が上回る
- イメージの61%は効率的で働きやすそう
- 条件が同じなら71%がAI活用企業を選ぶ
- 半数が仕事減に不安でも95%は使うつもり
- 知りたいのは使っているかよりどう使っているか
採用ページに「AIを活用しています」と書くべきか、迷っている企業は多いと思います。
そこで、就職活動を控えた学生101人に、就職先のAI活用をどう見ているか聞いています。
AIを使う会社が加点されるというより、使わない会社が減点されていました。
活用していると知って志望度が上がった学生は55%、活用していないと知って下がった学生は59%でした。
回答した学生の95%はすでに生成AIを使っている
回答した101人のうち、生成AIを週に数回以上使っている学生は96人です。
使っていないと答えたのは2人でした。
企業がAI活用を説明する相手は、AIを知らない人ではなく、毎日使っている人です。
調査の方法と回答した学生の属性
調査は2026年10月に、クラウドソーシングを通じて大学生に回答を募り、101人から回答を得ました。
学年は4年生が39人、3年生が30人で、就職活動を経験した学年が7割を占めます。
文系が63人、理系が33人で、学部の系統では人文・社会科学系が6割でした。

所在地は東京都が23人で最も多く、大阪府が11人、愛知県・北海道・福岡県が7人ずつと、全国に散らばっています。
無作為に選んだ調査ではなく、属性はすべて自己申告です。
ほぼ毎日使う学生が半数を超えた
「ほぼ毎日」が58人、「週に数回」が38人でした。

合わせると96人で、回答した学生の95%が週に数回以上は使っています。
使っていないと答えたのは2人だけでした。
企業がAI活用を説明する相手は、毎日AIを使っている学生です。
自由記述でも、大学の授業やスライド作成で使っている様子が書かれていて、「企業ではどこまで許されるのか」を知りたい、という声につながっていきます。
AIを使う会社の加点より使わない会社の減点が大きい
活用していると知って志望度が上がる学生は55人、活用していないと知って下がる学生は60人でした。
上がる人より下がる人の方が多い、という向きです。
文系と理系では、文系の方がその傾向が強く出ました。
7割が就職先のAI活用を気にしている
「とても気になる」が27人、「やや気になる」が46人でした。

合わせると73人で、回答した学生の72%です。
ただ、「やや気になる」が一番多く、「とても気になる」は4人に1人でした。
AI活用が給与や仕事内容と並ぶ最優先の条件になっている、とまでは言えません。
それでも、「まったく気にならない」と答えた学生は3人だけでした。
上がる55%に対して下がる59%
内訳は、上がる側が「大きく」15人と「やや」40人、下がる側が「大きく」10人と「やや」50人です。

一人ひとりの回答を見ると、活用していても変わらないが、活用していないと下がるという人が17人いて、その逆は12人でした。
使っていない方が、志望度への影響が大きいという結果です。
文系の学生ほどAI活用企業を選ぶ
文系と理系で差が出ました。
給与や知名度が同じ2社ならAI活用企業を選ぶ、と答えた割合は、文系が63人中51人で81%、理系が33人中19人で58%です。
AI活用と知って志望度が上がる割合も、文系60%に対して理系45%でした。
理系は33人と少ないので、断定はできません。
自由記述には「文系の自分でもついていけるのか少し不安」という声もあり、文系の採用が多い企業ほどAI活用の説明が重要になります。
学生がAI活用企業に見ているのは先進性ではなく働きやすさ
企業がAI活用を発信するとき、多くは「先進的な会社」に見せたいと考えると思います。
ところが、学生が「AIを活用している企業」と聞いて最も強く感じるイメージは、先進性ではありませんでした。
一番多かったのは「効率的で働きやすそう」で、62人が選びました。
「先進的で成長している」は26人です。
イメージの6割は効率的で働きやすそう
「人が減らされそう」は7人、「特にイメージはない」は6人で、9割近くが前向きなイメージでした。

学生にとってAI活用は、会社の格好よさではなく、自分の働き方の問題です。
自由記述でも「残業が減ると思う」「単純作業がカットできる点に期待した」という言葉が目立ちました。
先進性より、どの作業が減って社員の時間がどこに回ったかを伝える方が、学生には伝わります。
給与と知名度が同じなら7割がAI活用企業を選ぶ
「選ぶ」と「どちらかといえば選ぶ」を合わせて72人、回答した学生の71%でした。

前提は、給与や知名度が同じ場合です。
AI活用が給与より優先されるわけではなく、他の条件が並んだときの決め手になっています。
知名度で大手に並ぶのは難しくても、同じ規模の同業と比べられたときにはAI活用の有無が差になります。
地方の企業でも76%が候補に入れる
「十分に候補になる」と「他の条件次第で候補になる」を合わせると77人で、76%でした。

ただし、一番多いのは「他の条件次第」の57人です。
AI活用だけで地方の企業が選ばれるわけではなく、候補から外されない理由にはなっています。
「地方の企業は考えていない」と答えた人は6人だけでした。
不安の正体は仕事が減ることと丸投げされること
ただ、学生はAI活用を手放しで歓迎しているわけではありません。
自由記述に書かれた不安は、丸投げ、人減らし、考える力、セキュリティの四つに集まりました。
半数が不安でも95%は使うつもり
「強く不安」が7人、「やや不安」が46人、合わせて53人で回答した学生の52%でした。

ところが、入社後に業務でAIを使うことについては、「積極的に使いたい」が44人、「必要なら使う」が52人で、合わせて95%です。
不安があると答えた53人のうち、51人は使うつもりだと答えています。
学生が気にしているのは、使うかどうかではなく、使った後に人をどう扱うかです。
自由記述に繰り返し出る4つの不安
自由記述には、期待と不安が同じくらいの分量で書かれていました。
不安は大きく四つに分かれます。
| 不安の種類 | 学生の言葉(原文) |
|---|---|
| 丸投げ | AIに全任せのような企業には勤めたくないと思った。 |
| 人を減らす | 社員を減らさないという安心感がほしい。 |
| 考える力 | AIに頼りすぎてしまって自身の成長に繋がらないのではないか。 |
| セキュリティ | 正しく設定しないと外部に社内の情報が漏れるため、正しく活用できているかが気になる。 |
出典:AI SELECTION「学生のAI意識調査」自由記述(2026年10月)
四つの中で最も多かったのが「丸投げ」で、やりがいが減ることへの心配とセットで書かれています。
次に多いのが「人を減らす」で、「真っ先に不要となるのは若手なのではないか」という不安は、採用される側ならではの視点です。
「考える力」の不安は、AIを使っている学生自身が日々感じていることの延長にあります。
セキュリティは件数こそ少ないものの、企業に説明を求める形で書かれていました。
どれも、使うこと自体への反対ではありません。
学生が知りたいのは使っているかではなくどう使っているか
自由記述を期待の側から読み直すと、学生が企業に求めていることは、かなりそろっています。
「AIを使っています」という一言では足りず、どの業務で、どこまで任せ、人は何を判断し、どう育てるのかを知りたいのです。
どの業務で使っているかを具体的に
最も多かった要望は、使っている業務の具体です。
実際就活をしていて、企業などを見る中で、どのぐらいAIを利用しているかなどあまり詳しく情報を提供している会社は少ないように感じています。
回答した学生の自由記述(原文)
「具体的にどのような業務で使い、どんなスキルが求められるか事前に知りたい」という声は、何度も出てきました。
学生は「活用しています」の一言を、すでに信用していません。
どの作業に、どの道具を、どのくらい使っているかまで書いて、初めて判断材料になります。
書いている企業が少ないと学生自身が感じている以上、書けばそれだけで目立ちます。
研修とルールと人の役割
次に多かったのが、教育と線引きについての要望でした。
導入するだけでなく、社員への教育や使い方のルールも整っている会社のほうが安心して働けると思います。
回答した学生の自由記述(原文)
「使い方やプロンプトについて学ぶ時間は企業側が確保する必要はある」という言葉は、使い手ならではの要望です。
AIに任せる範囲と人が判断する範囲の線引きが言葉になっている企業は、学生から見て安心できる企業です。
前の章の「丸投げ」と「人を減らす」の不安は、この線引きを書くことでほぼ答えられます。
採用ページに書くべき3つのこと
学生の要望を採用ページに書く項目にすると、三つです。
- 使っている業務を具体的に書く何の作業に何を使い、どれだけ時間が減ったか
- 人が判断する範囲を書くAIに任せないと決めていることと、確認する人
- 研修と人の扱いを書く使い方を学ぶ時間の有無と、減った時間の使い道
三つに共通するのは、先進性のアピールが一つも入っていないことです。
「アピールだけで終わっていて現場で使いこなせていないのではないか」という学生の疑いに答えるには、具体を書くしかありません。
逆に、ここまで書ける企業は、AIを使っていること自体が証明になります。
まとめ
AI活用は、あると志望度が上がる条件というより、ないと下がる条件になっています。
活用していると知って志望度が上がる人は55%、活用していないと知って下がる人は59%で、減点の方が大きい結果でした。
そして学生がAI活用に見ているのは先進性ではなく、61%が選んだ「効率的で働きやすそう」という自分の働き方でした。
半数が仕事の減少に不安を持ちながら、95%は使うつもりでいます。
不安の中身は、丸投げされること、人が減らされること、考える力が落ちること、情報が漏れることの四つで、どれも使うこと自体への反対ではありません。
だから企業が答えるべきなのは、使っているかどうかではなく、どの業務でどこまで任せ、人が何を判断し、どう育てるか、です。
学生自身が「詳しく情報を提供している会社は少ない」と感じている以上、それを書いた企業から順に、候補に残っていきます。
