
「なめらかさと楽しさで地域・社会に笑顔を」というビジョンのもと、物流とITを駆使し、トイレットペーパーやポリ袋などの日用消耗品を便利に、スピーディに、低コストでお客様のもとへ届けるインフラを日本に構築することを目指す。
株式会社ユアサは、兵庫県西宮市に本社を置き、トイレットペーパーやポリ袋といった日用消耗品の卸売を手がけている。創業は大正14年、紙がまだ貴重品だった時代にさかのぼる。100年続く家業でありながら、社内の事務処理は生成AIによって大きく組み替えられてきた。2026年には、そこで培ったノウハウをもとに、クラウドベースのDX支援サービスまで立ち上げている。
生成AIを使い始めたきっかけ
出発点は、EC事業の成長だった。
2023年、同社は自社ECサイト「湯浅紙店」を開設する。売上が伸びるにつれて受注や出荷にまつわる事務処理は膨らみ、コストをかけずにそれを自動化する方法が必要になった。
試行錯誤の末に行き着いたのが、生成AIだった。ただし、単体で使うのではない。GAS(Google Apps Script)やGoogle AppSheetといったツールと組み合わせることに、可能性を見出した。
連携させれば、多額のシステム投資をしなくても業務は変えられる。その確信が、本格導入の起点になった。
使う前は、どうしていたか
導入前、受注処理や出荷通知は手入力とExcelマクロで回していた。
手作業に頼る工程では、誤入力が一定の割合で起きてしまう。どれだけ気をつけても、ゼロにはならない。課題は時間だけではなかった。作業のスピードと業務全体の品質を同時に引き上げる方法が、どうしても必要だった。

いま、どう使っているか
現在の活用は、多岐にわたる。
ひとつは、業務自動化ツールとアプリの開発である。ECの受注・出荷・請求といった事務作業を効率化するツールや、作業管理アプリを内製しており、GASやAppSheetと連携させることで開発そのものを高速化した。
ふたつめが、データの可視化と通知だ。集計した数値をグラフでわかりやすく見せるほか、分析結果を社内のチャットツールへ自動で流す仕組みも組んでいる。
みっつめは、社内ナレッジと事務の効率化にあたる。ノウハウにアクセスしやすいQ&A体制をつくり、日常的な事務作業そのものを削ってきた。
共通しているのは、AIの位置づけである。同社はこれを、テキストを生成させる道具としては捉えていない。開発からデータ連携、ナレッジ共有までを担う業務基盤のコア技術として、日常的に運用している。

社内に広げるときに、つまずいたこと
一番の課題は、社内の温度差だった。
事業成長にともなって事務処理量が増える部署では、担当者が積極的に使う。一方、変化の少ない部門では消極的になる。同じ会社のなかで、活用のレベルに開きが生まれた。
埋めるために、二つの手を打っている。
ひとつは、全社員に関わる共通業務にAIを組み込むことだ。社内規定の確認など、どの部署の人間も必ず触れる場面にAIを置いた。使うためのハードルを下げる工夫である。
もうひとつが、人事評価だった。生成AIを活用した業務効率化を、加点評価の対象に設定している。
ハードルを下げる工夫とインセンティブを同時に用意したことで、AIは全社になじんでいった。
これから
次に見据えているのは、自社の外側である。仕入れ先やメーカーまで巻き込んだ、サプライチェーン全体の効率化だ。
構想は具体的だ。リアルタイムでの在庫把握や、出荷手続きの自動化を各社間で連携して進め、流通プロセスの無駄を極限まで削ぎ落としていく。個社の業務改善では終わらせない。
「取引先全体をスムーズに繋ぐこの仕組みこそが、これからのEC事業の成長を強固に支える次世代の『流通インフラ』になると確信しています」
創業から100年になる。紙を家庭に広めることから始まった会社が、次は流通そのものの形を変えようとしている。
ともに働く人を求めている
同社は求める人物像として、四つの言葉を挙げた。
ひとつめは、挑戦心と改善意欲である。現状に満足せず、「現場・改善・スピード」を意識しながら、自ら考えて変化に挑み続けられる人を求めている。ふたつめが、お客様想いの姿勢と情熱だ。「お客様に喜んでいただきたい」という気持ちを持ち、目標の達成へ力を注げるかどうかを重視した。
みっつめは、協調性とオープンなコミュニケーションにあたる。組織の枠にとらわれず、仲間やパートナーと協力し、互いの長所を尊重し合える姿勢が求められる。そして四つめが、好奇心と楽しむ心だ。ITやAIなど新しいものに好奇心を持ち、自ら仕事や成長を楽しめる人を歓迎している。
「『仕組みを変えて未来をよくする』ために、個性を活かして主体的に動きたい人を募集しています」

1981年生まれ。同志社大卒、早稲田大MBA。NECで金融営業やプライベートクラウド事業開発を経験後、マザーハウスでジュエリー事業立ち上げを牽引。2019年に家業のユアサに入社。23年に自社EC「湯浅紙店」を開設しEC事業の成長をリード。そのEC運営で培った自動化・効率化ノウハウを活かし、26年にはクラウドベースのDX支援サービスを開始した。



