
今日はどんなに苦しくても、「あす」は「き」っといい日になる。そう思いながら、どんな苦しくても頑張っていける様に希望を持って生きていこう。そういう願いを込めて法人名称は付けられました。
大阪市東淀川区の住宅街に、就労継続支援B型事業所「ワークショップ ジョイント」はある。運営するのは株式会社アスキー。障がいのある利用者とともに、内職作業からデザイン、キッチンカーでの販売までを手がける事業所だ。その現場で、生成AIが静かに役割を担い始めている。
生成AIを使い始めたきっかけ
きっかけは、福祉の現場で日々使うシステムだった。障がい福祉サービスの運営には記録や管理の業務が多い。既製のシステムを、自分たちの事業所で使いやすい形に作り替えようと決めたとき、そのコードを書くためにChatGPTを使い始めた。
「初めは、なかなか使いこなすことができませんでした」と代表の藤井氏は振り返る。それでも、自分では思い浮かばないようなコードを次々と提示してくるAIに、「これは使える」という手応えを感じたという。

使う前は、どうしていたか
導入前の課題のひとつが、利用者からの問い合わせや困りごとへの対応だった。職員の手が空いていなければ、相談にすぐ応えることができない。利用者を待たせてしまう場面があった。
もうひとつは、より根の深い課題だ。利用者のなかには、自分の気持ちを言葉にすることが難しい人がいる。その「言葉にできない想い」を受け止める手段を、事業所は探し続けていた。
いま、どう使っているか
現在、生成AIは事業所の複数の業務に入り込んでいる。自社オリジナルのシステム開発でのコード作成。利用者との連絡に使うITシステムでは、ChatGPTが問い合わせの一次対応を担い、職員は余裕を持って二次対応にあたれるようになった。会議では自動文字起こしと議事録の自動作成が回り、事務作業の量が減った。
そして、この事業所ならではの使い方がある。利用者の「言葉にできない想い」を、生成AIで画像にすることだ。言葉では伝えられなかった気持ちが、一枚の画像になって表れる。福祉の現場だからこそ生まれた、生成AIの活用だった。

うまくいかなかったこと
一方で、頼りきりにはしない。法律の条文など、生成AIの回答にはまだ正確でない部分があることを、運用のなかで実感してきた。
「ChatGPT自身が『回答は必ずしも正しいとは限りません』と書いています。そのとおりで、調べ物はAIにだけ頼るのではなく、根拠をしっかり確認する必要があります」。福祉は制度の上に成り立つ仕事だ。だからこそAIの答えを鵜呑みにせず、必ず根拠にあたる。その線引きを守っている。
これから
次に見据えるのは、個別支援計画書だ。利用者との面談を自動で文字起こしし、そこから支援計画書の作成までをAIで繋げること。職員が書類に向かう時間を減らし、利用者と向き合う時間に変えていく。
書類に追われる時間が減れば、その分だけ利用者と向き合える。冒頭に掲げた願いに向かう歩みを、生成AIが後ろから支えている。
ともに働く人を求めている
アスキーは、ともに働く仲間も募集している。求めるのは、続けることができて、なんでも興味を持ち、探究心を忘れない人。職員間のチームの和を大切にし、上から目線にならず、相手の立場になって考えられる人。常に自己研鑽を続け、自分自身の向上を目指せる人だという。
そして採用条件の最後には、こう添えられている。「にゃんこ大戦争が好きな人」。この一行に、事業所の空気の柔らかさが表れている。

高校卒業後、飲食業を中心に経営。姉が障がい者であったことから、子どもの頃より障がい者と関わることが多く、いつか障がい者支援の事業所を立ち上げたいという想いを抱き続ける。2018年9月に株式会社アスキーを設立し、2019年2月に就労継続支援B型「ワークショップ ジョイント」を開設。





